「ネクタイの日にちなんで、はい中嶋さん。これ、プレゼントです」

「…イベントに踊らされるヤツだな、相変わらず」

「いいじゃないですか。何かしら贈り物をしたいっていう気持ちの現れですよ」

「ふん。ネクタイを贈るのは、相手を縛り付けたい意味合いだというが?」

「ちょっ…それ、束縛したい、の間違いじゃないですか?」

「どちらでも同じことだ」

「だいぶ…違うと思います」

「束縛、イコール拘束だろう? 間違えようのない図式じゃないか」

「いつもながら強引な――って、俺を縛ってどうするんですかッ!痛いですって」

「俺を縛っても面白みはないからな」

「だ、ダメですよ!拘束ネタは評判悪いんですから」

「何の話だ?」

「ですから、…――ねぇ中嶋さん、他人の話、聞いてます?」

「仕方ないだろう。ネクタイなどそう使う機会もない。

 他の使い道を探す方が有意義というものだ」

「だからそういう屁理屈はですね……あ!じゃあ今度、外へ食事に行きましょうか。

 有効利用…じゃなくて、正しい使用法で、ね?」

「そんな堅苦しい店は気が向かない」

「もう〜勝手なことばっかり。お願いだからこれ、早くほどいてください」

「無防備で開けっ広げなお前の姿もたまらなく魅力的だ――と俺が言ってもか?」

「ぐ…そういうこと真顔で言うのナシ!禁止!卑怯ですよ!! 俺は…」

「なんだ」

「――貴方にぎゅってするほうが、好きなんですから…」


「……どっちが卑怯なんだ」

「え?」

「結局、縛られてるのは俺のほうというわけだな」

「え?え? 中嶋さ――…ん…っ…」











【10月1日ネクタイの日】

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